上限と下限。順守と発展。

我々RIXPERTは、指導者がJAAF公認B級コーチのライセンスを保持し指導に当たっています。
この資格は日本陸上競技連盟(JAAF)が定めるもので、日本陸連の育成方針に従った指導を行っていることを証明するものでもあります。
また、日本陸連は2018年には若い陸上競技者をとりまく現状を踏まえ、これからの競技者育成の方向性を示す「競技者育成指針」を公表しました。
RIXPERTにおいても設立当初の理念に加え、そこで示された「身体リテラシーの向上」や「多種目への挑戦」を積極的に活動内容に取り入れてきました。

そして、先の2026年4月には日本陸連からその育成方針を基により具体的な内容に踏み込んだ「競技者育成プログラム」が公表されました。
JAAF公認コーチの資格を持ち、小中学生の年代の選手を多く預かる立場として、大前提として我々もこのプログラムに沿った競技者育成が求められます。
参加者のみなさまにおかれましても、大変重要な内容ですのでこの機会に日本陸連がどういった方針でいるのか、そしてその方針を受けてRIXPERTがどういった競技者育成を目指していくのかを改めてご理解いただけますと幸いです。
※以下の画像を選択すると日本陸連のページに移動します。

といっても競技者育成プログラムは120ページにもわたる内容となっているため、ここで全てを網羅することはできません。
その中でも、実際に我々に関わる若い競技者の育成に関わる部分について2つを紹介していきます。

早期高精度化しない

今回のプログラムでは日本陸連がミッションとして掲げている「国際競技力の向上」に向けて、特に育成年代における競技会システムの適正化が挙げられました。その中で、「シニア期における最高業績・最適種目選択を意図した種目ロードマップの作成」として以下の4点が示されています。

(1)育成期においてオリンピック・世界選手権などの種目戦術に基づいた戦略的な距離・重さ・高さに設定する。WA実施種目(オリンピック種目)と日本陸連推奨種目(育成戦略種目)の構造的配置。
(2)育成期は、個々の適正を見極めるために、より多くの種目への競技会参加ができるようにする。
(3)若年層から専門性の高い動作を継続することによる、早期高精度化を招くことがないようにする。
(4)戦術重視で勝敗を決定づけることの優位性がないように配慮する。

この中でも特に我々が気をつけなくてはならないのは(3)となります。
「早期高精度化」とは、早期定着化とも言い換えられ、育成年代でのトップクラスを目指した高精度化は、世界トップクラスを目指した高精度化とは異質であるために、年齢カテゴリーが上がってもその定着化から脱することが難しく、時間がかかることが多いとされています。

専門的なトレーニングを早期から行うことは、それ自体は悪いことではありません。
しかし、同じ動作の反復により動きが定着してしまうと、それはその後の変化の芽をつんでしまうことになります。
変化なくして向上はありません。
特に小学生段階から過度に専門的な練習を行うことは注意が必要でしょう。

「あらけずり」

RIXPERTの小学生では早い段階からこの言葉をキーワードとしてしてきました。
大きく動くこと、早く速く動くこと、力強く動くこと、思いっきり動くこと。
小学生の段階では技術的な正しさや動きの効率性よりも優先すべきことがあります。
そうした思いからの言葉でしたが、まさに早期高精度化を招かないことにつながります。

中学生段階も同様で、RIXPERTではウォーミングアップにRIX①~⑤までのアップがあり、多様な体の使い方を学べるようにしています。
専門練習においても同じ動きの反復だけではなく、多様なドリルを行っています。
ある程度の型は必要だが、型にはめない。
色々な動きをできるようにする。
そうした指導がRIXPERTの根本となっています。

これらも全ては高校生世代からの逆算にあります。
高校生世代の指導に携わってきた過去があるからこそ、中学生時代に活躍した選手たちが伸び止まることを本当に多く見てきました。
そうした選手たちの多くは、努力家でまじめで、中学生時代の練習にひたむきに取り組んってきた選手たちです。
だからこそ結果を残せたとも言えますが、だからこそ高校生になってからの変化を妨げてしまっていたということも事実です。

小学生には小学生の、中学生には中学生のやるべき練習があります。

上限と下限

競技者育成プログラムでは、同じくシニア期でのハイパフォーマンス発揮に向けて科学委員会からはドイツの研究を紹介しながら以下が示唆されました。

ドイツの選手を対象とした研究であり、これがそのまま日本人選手に当てはまるとは限りません。
しかし、こうした具体的な数値が研究によって示されたことが何より重要な示唆となります。
陸上競技に限れば、幼少期からその種目を専門的に行っていくことは必ずしも将来の伸びにつながりません。
むしろ、他のスポーツも含めた多様な運動経験が将来の伸びにつながります。

そして、同研究をベースにシニア期においてパフォーマンスを向上させるための推奨練習量も示唆されています。
練習量の下限だけではなく、上限が示されている点に注目でしてください。

これを見た時には驚きました。
まさにRIXPERTの活動です。

11,12歳となる小学5,6年生はジュニアプラスの活動で最大90分を週2回までに制限。
中学1年生となる12~13歳では90分の基本練習の週2~3回を推奨。
中学2,3年生となる14~15歳では90分の基本練習とプレミアムタイムを利用した120分の練習の週2~3回を推奨。
週4~5回の練習は高校生になってからの部活動で十分です。
設立当初から活動拠点を岐阜方面と大垣方面の2か所でそれぞれ3回ずつに分けているのも、練習への参加しすぎを防ぐためでした。

実は、設立当初は休日の練習を120分+30分としていたことがあるんですが、これはやりすぎになるとしてすぐに変更した過去があります。
そこから変わっていないこの練習時間や回数は、高校生世代から逆算して感覚的に決めたものでしたが、その感覚がばっちりとこの表に合っていることを大変うれしく思います。
あの時の感覚は間違っていませんでした。

もちろん、この数値は参考としてプログラムの中で紹介されているものであり、絶対に守らないといけない基準といったものでは全くありません。
しかし、プログラムの中でこうした数値が紹介され、今後の育成指針の一つとされれていることは重く受け止めなくてはならないでしょう。

RIXPERTの目指す姿

今回示されたプログラムは、シニア期でのハイパフォーマンス発揮が重要視されています。
一方で、今を生きる選手たちにとって、大切なことは将来よりも今目の前にある大会であることも事実です。

全員がオリンピックを目指すわけではありません。
目先の結果に全力投球したっていいじゃないか。

それももちろん正しい考え方です。
目先の結果に向けて全力で取り組みましょう。
ただし、それは日本陸連の示すこの枠の中での話です。
早期高精度化を防ぎ、練習時間や頻度を意識し、将来の伸びしろを残した中で目先の結果に向けて全力で取り組めばいいんです。

目先の結果だけを考えれば、より早期から練習の量と頻度を増やし、より専門的な内容を行った方が結果は出やすくなります。
しかし、それは日本陸連の示す枠からは外れてしまいます。
今回のプログラムでは、ここまでの文章が書かれていました。

公的な文章でここまで書かれているという事実は、JAAF公認コーチの資格を持つものとして、育成年代の選手たちを預かるものとして、自戒の意味を込めて重く受け止めなくてはいけません。
日本陸連の示す枠の中で全力で取り組み、そして結果を出していきましょう。
幸いにも、RIXPERT出身の高校生選手達の活躍が、その取り組みがまちがっていないことを証明してくれています。

最後に、今回の競技者育成プログラムが公表されたことによって、RIXPERTが大きく変わることはありません。
むしろ既にやっていたと胸を張って言えることばかりです。
長く深く陸上競技を楽しむために、動画や分析をも駆使しながら、陸上競技の魅力にハマってもらえればと思います。

今後もRIXPERTでは日本陸連の競技者育成方針を順守した上で、オリジナル色を出していきます。
RIXPERTに参加される全ての方にこの趣旨をご理解いただき、さならるクラブの発展を目指してまいります。

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