速く走ること①  ピッチとストライド編

2024年を迎え、年初から大きな災害が発生しました。
令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

改めて平穏な日常の大切さを噛みしめる年明けとなりました。
2024年もよろしくお願いいたします。

さて、新年1発目のブログは、1年の最初だからこそ改めて「速く走ること」について考えていきたいと思います。日々の活動や大会の結果ではなく、専門的な内容を記していくのは久しぶりですね。
気合が入り過ぎて3部作となってしまいました。今回はその1作目となります。

こうしたブログを書けるのも、この3年のRIXPERTの活動でたくさんのデータを蓄積してきたからこそ。
選手のみなさんがいてくれたからできることです。
※ここからの記載内容は、計算の過程の詳細は省略します。

RIXPERTの記録の伸び

RIXPERTに加入してどれだけ速く走れるようになったのか。
ここでは100mの記録に限定し、1年前の記録よりどれだけ記録が伸びたかを見ていきます。

1年間の100mの記録の伸び率のクラブ全体の平均は4.2%

クラブ全体としては、1年で約4.2%ほど速く走れるようになっていると言えます。
※2021年から2023年までの大会結果で、ピッチ・ストライドのデータがある小学生からマスターズ選手までの60件

消費税も今や10%の時代。
4%と聞くとほんの少しの気がします。

しかし、100mにおいては4%の成長は大きな成長です。
13.00の選手は12.50に。
12.00の選手は11.53に。
4%の伸び率でもタイムとしては約0.5秒の伸びとなります。

もちろん、これは平均のためもっと記録を伸ばしている選手もいます。
10%以上の伸び率を見せた選手も多くおり、一番記録の伸び率が高かった選手は13%と消費税を上回っています!

ピッチとストライドの関係

何が変化して100mの記録が平均で約4%伸びたのか。
そのあたりをもう少し詳しく見ていきます。

速さ(記録に直結) = ピッチ(足の回転)×ストライド(一歩の距離)

という関係で表すことができ、速く走ることにはピッチとストライドが関係しています。
速さを高めるためには、ピッチとストライドの両方、またはどちらかを伸ばしていくことが必要です。
RIXPERTでは100mのレースごとの平均ピッチ・平均ストライドを算出してきており、その伸び率も見ていきましょう。

ピッチの平均伸び率 1.0%
ストライドの平均伸び率 3.2%

ピッチとストライドもどちらも伸びていますが、ストライドの方が伸び率が高いということが分かります。
※ここからのグラフの青丸が男子、赤丸が女子のデータを表しています。
※伸び率とは前年のシーズンベストの数値からその年のシーズンベストの数値への伸び率を表しています。

ピッチが伸びた選手は概ね記録も向上していますが、ピッチが伸びなくても記録が伸びている選手が多くいることも分かります。


このグラフを見ると、ピッチよりもストライドの伸びの方が記録の伸びにつながっているようなイメージを持ちます。
少し複雑になりますが、ピッチとストライドの伸び率の関係についてもう一つのグラフを見てみましょう。

赤枠の「記録が伸びた組」を見ると、100mの記録が伸びたといっても3パターンのタイプがあることが分かります。
 ①ピッチもストライドも伸びた組
 ②ストライドは低下したがピッチが伸びた組
 ③ピッチは低下したがストライドが伸びた組

当然、①のように、ピッチもストライドもどちらも高めることができれば、100mのタイムは伸びます。
しかし、それが難しいんです。

ピッチとストライドは一方が伸びると一方は低下する「トレードオフ」という関係にあります。
より高いスピードを出せるようにするためには、その関係を打破していかなくてはいけません。

そのために、RIXPERTの活動では走りの技術と体力の向上に努めています。
先ほどのグラフにその成果が表れています。

また、RIXPERTではオプションの「分析」利用者には100mのレースごとのピッチ・ストライドを提供しています。
そのデータをもとに、選手ごとのピッチ・ストライドの課題を把握し、全体のトレーニングや個別のトレーニングに反映していっています。

個人個人の課題に応じて、走りの技術と基礎体力を高めていくことこそがピッチ・ストライドの向上に最もつながり、速く走ることにつながっていきます。
誰もが速くなれる魔法のトレーニングなんてありません。

最後に、それを最も顕著に表したデータを紹介します。
RIXPERTではオプションで「パーソナルトレーニング」を行っており、継続的な練習参加とパーソナル利用がある短距離選手たちには明確な記録の伸びが確認できます。

分析の力と継続したトレーニング、蓄積された動画と選手の努力、RIXPERTではそれらの重なりによる調和が、走りに大きな変化を生み出します。

速く走るためには、ピッチとストライドを高めていくことが重要です。
そして、そのためには個人個人の課題に応じた技術・体力トレーニングを行っていくことが最も効果的です。

それ以上の答えはありません。

次の2作目では、ピッチとストライドを伸ばしていくための方向性として、体力面との関係性を見ていきます。

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