沖縄の風

8月17〜20日に沖縄の沖縄総合運動公園にて全日本中学校陸上競技大会が開催されました。
全中と称され、県内で2回行われる指定大会で参加標準記録を突破した選手のみが参加できる全国大会となります
多くの中学生選手が夢見た舞台へRIXPERTから今年は3年生男子選手が200mで挑戦しました。

RIXPERTから出場
中3 男子 200m 22.40 -2.3 予2

全中には、一昨年はハードルで1名、昨年は男女走幅跳で2名が参加しており、短距離選手ではRIXPERT初となる出場となりました。
資格記録のランキングでは29位となっていましたが、ベスト記録でいけば14位相当となっており、十分に決勝も見える位置につけています。
あまり感情を表に出さない3年生男子選手ですが、最低でもTR(トライアルレース・予選記録9~16位)と、前日に東海で大きなベスト更新の要因となった?カツを食べながら静かに闘志を燃やしていました。

7月末の県総体後、国スポ選考会、東海大会と連戦による疲労を抜きながら調整し、お盆にはチームメイトの協力をもらいながら練習に取り組みました。全中に届かなかった仲間の想いも胸に気合いも仕上がりも十分です。

当日、レーンは8。県大会決勝、東海大会決勝も8レーンで何かと縁のあるレーンです。周りを気にせず自分の動きに集中できるレーンでもあるので初の大きな大会には相性のよいレーンです。
周りが見えない分、とにかく前半でぶっちぎって逃げ切るしかありません。
ただ、焦ってしまわないようにコーナーを抜けたときにインレーン選手が前にいる可能性のイメージも作っておきます。

男子の前には女子の200mが行われており、風が組によってかなり異なる上に、雨が降ったり止んだりしていました。タイムが出るかどうかは条件次第となっていました。
沖縄の天気は数分ごとにコロコロ変わるとレンタカー会社の送迎運転手がそう話していたことを思い出します。

3年生男子選手は4組になりますが、3組が終わった直後に軽く雨が降ります。
4組が始まるころには止みますが、風向きは安定しません。

いざ緊張のスタート。しかし、1度目はやり直しとなってしまいます。このやり直しによって条件が良くも悪くも変化してしまいます。

2回目のスタートでは問題なく各選手一斉に飛び出します。
3年生男子選手もいいスタートを切り、前半の100mを10秒台で通過することを目標に「思いっきり行った」と話をしていました。

100mを3番目あたりで通過しますが、コーナーを抜けるころには2番手に上がります。
概ねシュミレーション通りであとは後半でどれだけ粘れるかの勝負となりました。

先頭とは前半でつけられた差がなかなか縮まらず2着のゴールとなりました。

タイムは22.40。風が-2.3m。
昨年であればTRに出場できるタイムですが、スタートのやり直しが悪い方に働いてしまい、強い向かい風の中走ることになってしまいました。ただ、風を考えるとベスト相当となり、大きな舞台で立派に走りました。

あとは他の組の結果を待って決勝へ進出できるかどうかとなります。

しかしながら、終わってみれば13組のうち唯一とも言える強い向かい風が吹いた組となっていました。風向きが安定しないなかでも他の組はほとんどが追い風となっていて、その影響もあり好タイムが続出します。

最終結果は全体の31/90位。風を考えれば十分に戦えたものの、スタートのやり直しがなければ、他の組に入っていればと条件次第で結果が大きく変わっていただけに悔やむに悔やめない結果となりました。

全体の記録上位8人に入れば決勝、16人までに入ればTRという決勝進出条件は0+16となっています。これは組によって風や雨など条件に左右されてしまい、実力以外の要素が絡んでしまいます。

ただ、3年生男子選手と同じ組の1着の選手は決勝に進出しており、実力があれば問題ないとも言えるため力不足の現実を突きつけられる結果にもなりました。

今回のように運が悪かったとしか言いようのない状況でも勝負できる力をつけていくしかありません。

我々も風がどうだったらもっと走れたなど言うことも多いですが、選手たちを安心させようと必死に言い訳をばかりを考えていたかもしれません。
風が強かろうがタイムが出なければ遅い。タイムが出れば速い。
タイムがよかろうが、悪かろうが強ければ勝つ。
追い風参考記録はあくまで参考。実力ではない。

そんな気持ちで取り組まないと全国の決勝の舞台には行けないのかもしれません。

とはいえ、初めての個人での全国大会、初めての飛行機移動、初めての沖縄とわからないことや不安なことが多々あったと思います。

また、全国大会などへ行くと舞い上がってしまってパフォーマンスが上がらなかったり、県レベルの大会では組トップで走れるのに全国では先に行かれてしまったり、並ばれてしまったりと思うように走らせてもらえず、自身のパフォーマンスが発揮できないなどの選手もたくさんいます。

そんな中でもベスト記録更新とはいきませんでしたが、持ちタイム順通りの組2着であったことや風を考えればベスト相当なので十分にパフォーマンスは発揮できたと思います。

帰りの飛行機の中で全中を通してどうだったかと聞くと「飛行機の乗り方がわかって成長できました。」と。聞きたいのはそういうことじゃないと笑ってしまいましたが、全中のことは自分の中では反省し終えて完結しており、次の目標へ向かってすでに頭の中では新しいスタートを切っているのだろうと感じました。

全中というのは中学生にとって憧れであり、大きな目標となります。しかし、陸上競技人生においては、単なる通過点であり、経験の一つにすぎません。

理想のパフォーマンスを追い求めていたらいつのまにか全中へ行けた、優勝できたくらいの熱量で十分です。

これから先の長い中学生たちには、
単なる通過点で燃え尽きないように、
結果を求め過ぎて焦らないように、
全中の先がちゃんと見えるように、

「全中は目指すものではなく、ただの通過点」と考えてほしい。

賛否のある言葉かもしれませんが、全中優勝とその後の苦悩と戦った私だから言える言葉と思い、ここに残しておきます。

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