長くかかる時間

盛況で終えた感謝祭の翌日の3/21(土)にはメモリアルセンターにて多種目挑戦会を行いました。
午前中が小学生の部、夜間が中学生以上の部として、昨年11月以来の実施となります。
間の時間となる昼は舞台を隣のスポーツプラザの会議室に移し、初の試みとなるRIX講習会兼RIX総会を行いました。

小学生の多種目挑戦会は、昨年の11月が雨天中止となったため、実に1年ぶりの実施となります。
コンバインドA(80mH・走高跳)とコンバインドB(走幅跳・ジャベボール投)の4種目に合わせて、50mRIXバッジチャレンジ、最後には全員での800m測定と計6種目を行いました。
800mを除いた5種目は好きな時に好きな場所に行っていい形式となります。
さらに、今回は中学生の選手に補助員として測定に協力してもらい、本番の大会と同様の形式で実施することができました。

ハードルは安全面を考慮しスポンジハードルを使用しての測定となります。
走力があっても上手くリズムを作れないとタイムが伸びないのがハードルです。
抜群の適応力を見せる小学生たちは測定を繰り返すたびに記録が上がっていっていました。
低学年の選手たちも9台のハードルを必死に跳び越えて走り切っていました。

ジャベボール投、走幅跳もファールをしてしまうと記録が残りません。
厳しいルールではありますが、大会出場を見越すとこればかりは仕方ありません。
それでも、小学生たちが意識するべきことは「ファールをしない」ことではなく「思いっきり投げる、跳ぶ」ことです。
ファールを意識して動きが小さくなってしまうのではなく、記録が残ればラッキーくらいの気持ちで全力でいきましょう。

走高跳は支柱の高さが最低で1mとなってしまうため、普段の活動で使用しているパイプ測定器も使用しての測定となりました。
マットが高く、低学年にとってはマットに跳びあがるだけでも大変になるのがこの挑戦会ならではです。
この日の最高記録を記録した2名の6年生男子に加え、初めての挑戦で1m30を越えた6年生男子もおり、今後に期待が高まります。

50mチャレンジは若干の向かい風とはなりましたが、6年生選手にとっては最後の挑戦機会となります。
スパイクは禁止、スタンディングスタートのレギュレーションのもと、久しぶりのタータンでの挑戦となるジュニアプラスの選手達がどんどんと好記録を残していきます。
以前は最高ランクだったSSSが6名、その上となるLegendが6名とさすがの走力です。
さらにその上のランクとなるGODは過去に1名しか達成していない領域となります。

そこにあと0.01秒に迫った6年生男子選手が現れましたが、上回ることは難しいかと思われた次の測定。
GODの基準を0.3秒上回る過去最速のタイムが記録されました。
コンバインドBで東海小学生陸上優勝の実力は伊達ではありません。
ここにまた一人ダイヤの原石が生まれました。

4年生の入会当初は10秒台だった6年生男子選手は、今回7秒台まで成長しました。
同じく5年生の入会当初は9秒台だった6年生女子選手はSSSまでランクが登り詰めました。
どちらの選手もジュニアプラスでの活動を通して大きく成長した選手たちです。
ジュニアプラスの活動はレベルや精度の高い課題に挑戦していますが、間違いなく成果となっています。
普段はあまり意識していないことだと思いますが、今回改めて実感することができました。

記録の集計中に行った800mでは5年生男子選手が積極的に前を引っ張り、2分40秒を切るタイムでゴールしました。
僅差の2番手に続いた4年生男子選手と共に、昨年の大会での自己記録を大きく上回りました。
来年のRIXPERTの小学生を牽引する活躍が期待される選手たちです。

先頭が引っ張ったことで、全体のペースも上がり非常に良い挑戦となりました。
30人を超える大人数での測定となりましたが、走り終わった後は当然苦しい表情を見せていましたが、やり切った清々しさも併せ持っていました。
記録の入力に時間を要したため、最後は中学生も含めての鬼ごっこを行い終了となりました。

記録の集計はコンバインドA・Bに採用されている4種目の合計得点となります。
1年前の記録がある選手たちは全員が合計得点を伸ばし、平均で400点の得点アップとなりました。
コンバインドA・B換算の両方で2,000点を越え合計で4,000点を突破した6年生男子選手を筆頭に、大きな目標となる3,000点突破を計7名の選手が果たしました。
全体としてはコンバインドA種目(ハードル・走高跳)の合計得点がコンバインドB種目(走幅跳・ジャベ投)の合計得点を上回っている傾向にあります。A種目の方がどちらかといえば技術要素が高いと言えます。裏を返せばベースとなる基礎体力にはまだまだ向上の余地があると言えるでしょう。そしてそれは中学生になってから補っていく部分です。
中学生となってのこれからの活躍に大いに期待します!

昼食をはさみながら、舞台はスポーツプラザの会議室に移します。
午前の測定からそのまま参加していく小中学生、ここから参加となる中学生や保護者の方など、初めての試みとなりましたが多くの方にお集まりいただけました。

内容は4本立てです。
それぞれのコーチによる30分の講義と、最後にはRIX総会として2026年に向けたRIXPERTの方針説明となります。

最初は野村コーチによる「スプリントの科学 接地にこだわろう」になります。
海外の研究論文をベースに、世界一流選手のスロー動画や自分たちの走りの動画を見ながら、速く走るために着目するべきポイントについて説明を進めていきました。途中ではAmazonで購入した実物のムチを振る姿も交えながら接地に対する理解を深めました。
知ったからといってすぐに速く走れるようになるわけではありません。
本当にこの話が正しいのかを自分の体で検証しながら、時間をかけてものにしてもらえればと思います。
それ以上に、走ることの奥深さや科学的な面の面白さを感じてもらえれば幸いです。
ぜひ将来はスポーツ科学を勉強して、研究論文を読めるようになってください!そのためには今の勉強が大切です。

続く中コーチは「課題設定 心・技・体の構造モデルから」として、来シーズンの課題設定の方法論の説明となりました。
「来シーズンの課題は?」
「スタートを速くする」「後半を強くする」「体力をつける」
おそらく多くの選手がこのような答えをするのではないでしょうか。

そんな単純な質問ですが、課題設定にはすごくたくさんの要因が隠れています。
技術とは何か、そしてその背景となる心理面、体力面がどうなっていることが必要なのか。
ここまで理解した上で考えられると、課題というものの見え方が全く異なってきます。
難しい話だったかもしれませんが、何となくからでいいので、来シーズンの課題について考える際に参考にしてもらえると幸いです。

トリを飾る南部コーチは「日本一とその後 競技との向かい方」として、自身の競技経験をもとに、今の中学生に伝えたい熱いメッセージが込められた講義となりました。
初公開、そしてこれが本人によると最後の公開となる南部コーチの全中400m優勝時の動画も流しながら、全中優勝への道筋とその後の苦難が語られました。特に、全中優勝後に精神的に追い込まれていく話は心が痛み、当時の過剰な練習時間を見ても大変な状況だったことも分かりました。
だからこそ今はコーチとして、中学生選手たちが自分と同じ道を進まないようにしてあげたい。
全中に優勝したからこそ、そして小中学生選手の指導者をしているからこそ、南部コーチにしか話せない講義となりました。

最後はRIX総会として、RIXPERTの目指す方針、特色、および2026年の活動についての話となりました。
RIXPERTの設立背景から始まり、長期的な視点での育成を目指す指導方針の確認、そして全国平均を大きく上回る記録の伸びとそれを支える分析を中心としたフィードバックシステムについて説明がされました。
こうしたクラブの説明をする機会は文章では行っているものの、選手たちが集まった場でこうして説明することはおそらく初めての機会となります。選手たちも意外と知らなかったという反応も多く、クラブへの理解を深める良い機会となりました。

講義と総会という初の試みとはなりましたが、普段の練習とは異なる、これも価値のある時間となったのではないでしょうか。
今回の実施をもとに時間や内容については改善を加えながら、ぜひ定期的にやれたらいいなと思います!

夕日が照らし出してきたころ、舞台は再び補助競技場に移り、中学生の多種目挑戦会となります。
芝生広場を利用して各々のアップを行う中、中学3年生はさっそく進学先の高校のアップを行っていきました。
陸協登録や大会の申込も始まり、シーズンの足音が近づく中ですが、RIX総会でも説明があったように、クラブが大切にするのは多種目への挑戦をベースとした長期的な視野での選手育成です。
目先のシーズンの結果だけでなく、その先を見越した多種目挑戦会です。

種目はこれまでと変わらず、走幅跳、ハードル、砲丸投の3種目をローテーションしながら測定した後、最後は全員での300mとなります。
今回はさらに講義も加わったと言えるかもしれません。
10月からの多種目挑戦月間の締めくくりとして行った11月の多種目挑戦会とは違い、まだまだ冬季練習の中でスピードも上がっていない状態となります。
そうしたこともあり、ハードルでは安全を最優先しスポンジハードルを使用した測定となった選手たちもいましたが、冬季を通してハードリングもうまくなってきました。
300mでは男子で中学3年生選手がRIXPERT最高記録、女子でも2年生選手がRIXPERT最高記録に0.02秒と迫るなど全体的に記録が良く出ており、「楽に速く」をテーマにした冬季練習の成果を感じられる結果となりました。

総合得点では男女ともに大多数の選手が自己記録を更新できており、体力、技術ともに冬季練習を通して確実にベースが上がっていることが分かりました。
大きな目標となる総合得点2,000点越えに向けても、男子では中学2年生選手たちが手の届く範囲に迫ってきました。
女子でも秋には複数名の選手の2,000点越えが期待できます。
シーズンになってさらにスピードレベルが高まり、気温も高くなればさらなる好記録が出ることでしょう。

4月から始まる新シーズンで、自分の専門種目で好記録が出るにこしたことはありません。
その裏に、多種目でも好記録を出せるベースがあればなお言うことはありません。

専門種目の記録は高いが多種目の記録は低い。
そういった選手はどうしても先細りになってしまいます。

多種目の記録が高いうえで専門種目の記録も高い。
将来性の高い選手とはこうした選手です。
そして、それこそがRIXPERTの目指す選手育成像です。

RIX総会では発達段階に応じた目安となる練習参加頻度の説明もありましたが、小学生の頃は週1~2回の活動の中で、ベースとなる技術と体力を無理なくつけていけば問題ありません。
体の成長に合わせて、体力的な負荷や求める技術レベルを段々と高くしていきましょう。
その結果が、この多種目挑戦会の総合得点の数値と言えます。

専門種目を大切にしながらも、小学生のころから多種目に挑戦できる環境を作り、段階的に練習参加頻度を増やしていく。
これこそが長期的な視野で将来につながる選手を育成する上での根幹となります。

その実現のためには長く時間がかかる。
本当にこれに尽きます。

RIXPERT設立から5周年を迎え、4月からは6年目を迎えます。
共に長くを過ごしてきた選手たちの成長した姿を見ても、これまでの道のりは決して間違いではなかったことを確信しています。

2026年シーズンは暑熱対策もあり8月の大会が例年より少なくなっているので、その辺りでも多種目挑戦会をやってみたいですね。
春・夏・秋と3回やれれば理想的な形となります。
もちろん、今回のような講義も入れながらの多種目となります。

さぁ新シーズンです。
大いなる期待を胸に突き進んでいきましょう!

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