身体リテラシー
みなさんはこの言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは日本陸上競技連盟の競技者育成指針に出てくる言葉です。初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか?
ここでは、「身体リテラシー」という言葉をもとにしながら、RIXPERTの目指す選手育成についてご紹介します。
▶ 早く始めるほどスポーツの才能は開花するのか
近年、水泳や体操、フィギュアスケートなど、世界の舞台で活躍するスポーツ選手が早期から一貫したトレーニングを行っている事例を多く見るようになりました。
陸上競技でも、小学生の大会が盛んに行われるようになり、全国大会も開催されています。また、各地域のスポーツ少年団を中心に、小学生の陸上指導も盛んに行われています。
RIXPERTでも、専門的トレーニングを早いうちから行い、小学生の全国大会で活躍、そしていつかは日本代表に…。
そんなことは全くありません!!
断言します。RIXPERTではそんな指導は行いません。
▶ 早期専門化の大きな弊害
小学生段階からの専門的トレーニング。ここには大変大きな危険をはらんでいます。
一つ目は身体的・精神的な負担が大きいことです。
ジュニア期においては、競技レベルを問わず多くの競技者にスポーツ外傷・障害の受傷歴が認められることや、競技やトレーニングの実施に影響する障害やオーバートレーニング症候群の発生、さらに女子競技者では過度な減量などによる「相対的なエネルギー不足」に起因する「無月経」、「骨粗鬆症」(女性競技者の三主徴)なども指摘されている。
日本陸上競技連盟競技者育成指針より
二つ目は、陸上競技においては早期専門化が将来の成果に必ずしもつながらないことです。
国内外のオリンピック出場競技者を対象とした調査結果から、陸上競技は他のスポーツに比べて専門化が遅い競技であることが明らかにされている。また、日本代表の多くが、小学校期には陸上競技以外のスポーツや自由かつ自発的な運動遊びを盛んに行っており、中学校期から陸上競技を専門的に開始するものの、その半数以上が全国レベルの競技会(以下「全国大会」という。)に出場していなかった。
日本陸上競技連盟競技者育成指針より
このように陸上競技において早期専門化が進むことは、子どもたちの身体・精神状態に大きな負担をかけ、さらにはそれに見合う成果を望めないという状況が生まれてしまいかねません。
もちろん、小学生から大人まで継続してトップレベルで活躍されている選手はいます。しかし、そうしたごく少数の選手の活躍の影には、ケガや伸び悩みに苦しんできた多数の選手がいることも忘れてはなりません。
▶ 道筋を示すバイブル
それでは小学生段階に必要なものは何なのでしょうか?その答えを示してくれるのが、陸上競技指導者のバイブル「日本陸上競技連盟競技者育成指針」に他なりません。※画像クリックで該当ページに移動できます。
ここでは、科学的知見や実践的な指導理論に基づいて生み出された競技者育成指針が示されており、その中核を担うのが、「身体リテラシー」です。
ようやく出てきたましたね。それでは本日の主役の登場です!
身体リテラシー(Physical Literacy)
日本陸上競技連盟競技者育成指針より
さまざまな身体活動、リズム活動(ダンス)、スポーツ活動などを、自信をもって行うことができる基礎的な運動スキルおよび基礎的なスポーツスキルのこと。身体リテラシーには、運動を楽しく、有能感(Competence)をもって、意欲的に行えるといった心理的な側面、あるいは仲間と協調したりコミュニケートしたりできる社会的側面も含まれる。この身体リテラシーが身につくことによって、生涯を通して健康的で活発なライフスタイルを送ることが期待できる。
この身体リテラシーを育むことこそが、陸上競技者を育成するうえで最も大切な要素となります!
そして、陸上競技は走・跳・投という、幼少年期に身体リテラシーを育むうえで最適なスポーツであり、全てのスポーツの基礎づくりに役立ちます。
RIXPERTの活動は陸上競技はもちろんのこと、他競技の選手にとっても効果のある活動となっています。
陸上競技を専門とする場合でも、専門的トレーニングはこうした身体リテラシーが十分に身についてから行うことでより大きな成果を生み出します。
▶ 身体リテラシーを育む
長くなりましたが、私たちRIXPERTの指導方針も日本陸連競技者育成指針に従い、「身体リテラシー」を育むことを中核に置いています。
小学生では運動の多様性を中心としながら、中学・高校と進むなかで専門的トレーニングを増やしていきます。
ここは、目先の成果にとらわれてブレてしまってはいけはないRIXPERTの確固たる指導理念でもあります。
小学生対象のRIXPERTジュニアでは、速く走る基礎的な専門トレーニングに加え、走・跳・投をバランスよく練習に取り入れています。
縄跳びやフラフ―プ、ハードルやラダーといった様々な道具を使って身体操作性を高めることも大切にしています。裸足で走ることもあります。
動きのタイミングにも幅をもたせ、例えば大縄跳びの八の字とびを行うときも、スキップで縄に入るなんてことも…。
また、何本も走り込みを行うのではなく、鬼ごっこやリレーを通して、楽しみながら体力向上を目指しています。何といっても鬼ごっこは最強のトレーニングですね。
中学生以上のクラブにおいても、運動の多様性を中心とした練習日もあります。小学生と鬼ごっこをしたり、トランポリンを跳んだり、鉄棒をやったり、専門外の種目をやったり。
こうした多様性のある練習を怠っては、専門性は高まりません。
最後に…
子どもの活躍する姿を見られることは、この上なくうれしいことです。
しかし、目先の結果にとらわれて、子どもの体や心、そして将来の伸びしろを犠牲にしてまで得るものではありません。
焦らず、急がず行きましょう。
たくさんの寄り道をすることで、子ども達は大きな成長をしてくれます。少し時間はかかっても、大目に見てください。
「身体リテラシー」を育む。
ぜひRIXPERTの指導方針をご理解いただき、活動へのご協力と応援をお願いします。
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